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5月になり、藤やネモフィラが満開になると、いつも、青さんのことを思い出す。

ふだんは、特別、仲が良いということもなく、気が向いたら、すこし話すという、それだけの関係。いわゆる、知人というものだったのだけど(もしかしたら、それ以下だったかもしれない)、私は、あの人の撮る写真が好きで、それをよく眺めていた。

ある日、どこかに出かけるということで、何かいい場所がないか探していたので、私は、ネモフィラがたくさん咲いている場所をすすめた。あの人は、青色がとても似合う人だったから、ネモフィラも青だし、丁度いいかもしれない、という単純な理由。結局、あの人は、ネモフィラを見に行って、写真を撮って帰ってきた。ネモフィラは、風で倒れちゃってたよって言ってて、すこし、申し訳ない気もちになった。

それから、しばらく経って、青さんが、写真を送ってくれることになった。部屋に青さんの写真があるだなんて、どんなにすてきなんだろうと思うと、とてもワクワクした。そこで、私は、青さんの目が見えなくなってしまうという話を聞いた。

その話を聞いたときは、何と返したらいいのか全く分からなくて、そうだったんですね、としか言うことができなかった。どうやって声をかけても、相手を傷つけるようなことしか言えない気がした。でも、何も言わないことも、あの人を傷つけてしまう気がして、ずっと、ぐるぐるループしていた。

今も、あのとき、もう少し、気の利いたことを言えたらよかったのに、という気もちがなくならない。あれからずっと、話していないし、姿を見ることもない。結局、誰にもなにもいわず、いなくなってしまった。あの人は今も、ちゃんと生きているのだろうか。

いつか、ネモフィラを見に行こうと思っているのだけど、今年は見にいくことができなかったから、来年こそは行けたらいい。もしくは、河内藤園に。

青さんの代わりに、だなんてそんな大それたことは言わないけれど、一度どんなところなのか、きちんと見ておきたいな、と思う。